エミュー油とヒトの肌の脂肪酸組成は、下図の通り、とても似ているので、肌への親和性が高いと考えられます。
脂肪酸 | エミュー | ヒトの皮膚 |
ミリスチン酸 | 0.4 | 2.1 |
パルミチン酸 | 22.0 | 20.2 |
ステアリン酸 | 9.6 | 11.2 |
パルミトレイン酸 | 3.5 | 3.8 |
オレイン酸(ω‐9) | 47.4 | 30.8 |
リノール酸(ω‐6) | 15.2 | 15.1 |
リノレン酸(ω‐3) | 0.9 | 0.3 |
実際に、使用してみると、すっと伸びて、じわっと浸み込むので、塗った後はべたつきません。
アボリジニは万能薬として使用していましたが、具体的にどの成分が有効なのか、研究はまだ途中で解明されていませんが、その有効性については数多くの研究結果が見つかります。
脂肪酸の話
脂肪は主に脂肪酸からできています。さらに脂肪酸は構造の違いから飽和脂肪酸(二重結合がない分子構造)、一価不飽和脂肪酸(分子構造の中で二重結合が1つ)、多価不飽和脂肪酸(分子構造の中で二重結合が2個以上)の三つに分けられます。また、構造に含まれる炭素(C)の数で、短鎖脂肪酸(炭素数6未満)、中鎖脂肪酸(炭素数6-12)、長鎖脂肪酸(炭素数13ー21)、超長鎖脂肪酸(炭素数22以上)に分けられます。
飽和脂肪酸は主としてエネルギー源として、対して、不飽和脂肪酸は細胞膜の成分になったり、生理活性物質(微量で体に影響を与える物質)になったりします。
上記組成の脂肪酸をわけると以下の通りです
・飽和脂肪酸:パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、ミリスチン酸(C14:0)
・一価不飽和脂肪酸:オレイン酸(ω-9)(C18:1)、パルミトレイン酸(C16:1)
・多価不飽和脂肪酸:リノール酸(ω-6)(C18:2)、リノレン酸(ω-3)(C18:3)
脂肪酸は、炭素の数と二重結合の数で表すこともできます。Cは炭素の数、:の後ろの数字は二重結合の数です。また、ωの後ろの数字は、二重結合の始まりの位置を表します。
多価不飽和脂肪酸は、ヒトの体内で作り出すことができないので、必須脂肪酸とも呼ばれています。
多価不飽和脂肪酸の中でも、ω-3脂肪酸は、積極的に取りたい脂肪酸です。
上記は、エミュー油と、ラード(Lard)と牛脂(Tallow)の比較です。
項目は上から、飽和脂肪酸、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、ベヘン酸(C22:0)、不飽和脂肪酸、パルミトレイン酸(C16:1)、ヘプタデセン酸(C17:1)、オレイン酸(C18:1 シス)、リノール酸(C18:2 シス)、リノレン酸(C18:3 シス)
です。
エミュー油は、ラードや牛脂より不飽和脂肪酸が多いためか、常温で液状に近い脂です。
冬は固まりますが、手のひらで温めると、液状に戻ります。